近年、企業の業務効率化やペーパーレス化の推進により、電子請求書システムの導入が注目を集めています。従来の紙ベースの請求業務に比べ、コスト削減や作業効率の向上など多くのメリットが期待されますが、導入には注意が必要です。本稿では、電子請求書システムを実際に導入し、2年間利用して得られた利点や注意点を紹介します。
まず、営業担当者が提示する初期費用はあくまで目安です。実際の導入には追加費用がかかることが多く、見積もりをしっかり確認し、費用対効果を検討することが重要です。私自身、見積もり段階で想定以上の金額に驚きました。特にサポートやオプション費用が高額になるケースがあるため、慎重な検討が必要です。
一方で、導入後の効果は確かに実感できました。しかし、システムを一度導入すると途中で辞めにくい点もあります。本稿では、こうした実体験をもとに、メリットとデメリットを具体的に解説します。
電子請求書システム導入のメリット
電子請求書システムを二年ほど利用してみてのメリットや便利だなと思った点を挙げてみます。
1.コスト削減
- 紙代・プリント代・封筒代が不要。郵送料も削減できる。
- 請求書専用封筒を廃止可能で、さらなるコスト減が見込める。
- 作業効率の向上。
- 印刷や封入作業、郵送手続きが不要になる。
- 請求書を即時送付でき、タイマー設定でスケジュール管理が可能。
2.利便性の向上
- 会社に出社せずに請求書発行が可能。体調不良時にも対応しやすい。
- 電子データとして長期保存が可能(電子帳簿保存法対応システムの場合)。
経理担当者が複数おり、どの部門の請求書も把握している担当者が数名いる企業であれば問題は少ないかもしれません。しかし、当社のように経理担当者が少なく、他部門の請求内容についてほとんど把握できていない状況では、会社に出社せずに請求書を発行できる機能は非常に助かる機能です。
経理担当者にも突然の用事や体調不良で出社できない日があるのは当然のことです。しかし、代わりに対応できる担当者がいない場合、出社せざるを得ないのが現状で、これが大きな負担となります。その点、電子請求書システムを導入することで、自宅からでも請求業務を行えるようになり、「会社に行かなければならない」という問題をほぼ解消できます。
ただし、体調不良時にまで作業をさせるのは避けるべきですが、電子化により他の担当者でも業務を代行しやすくなります。これにより、徐々に会社全体の体質を変えていくきっかけにもなると感じました。
3.トラブル削減
- 紛失・再発行依頼がなくなる。
- 再送メール機能があり、見逃しを軽減。
- 請求書未着に関する問い合わせが減少。
- 経理作業の改善。
- 発行件数を正確に把握できる。
- 作業時間が大幅短縮(数分で完了)。
- 担当者交代時もスムーズに引き継ぎ可能。
4.柔軟な運用
- 自宅からでも送付が可能で、スケジュール調整も容易。
電子請求書システム導入のデメリット
1.導入時の負担
- 新システムの操作習得が必要だが、操作自体は比較的簡単。
- 取引先の登録依頼や問い合わせ対応に時間がかかる場合がある。
2.システム運用の課題
- サポート料金や利用料が高いケースもあり、見積もりが重要。
- 運用元のサポート対応が遅い場合がある。
- 年間契約の更新忘れによるデータ消失リスク。
3.取引先対応の課題
- 担当者変更時に再登録が必要。
- 他システムへの移行が難しくなる。
4.情報管理の課題
- 取引先情報のメンテナンスが煩雑。削除不可のシステムもある。
- 基幹システムと連携できない場合、作業が二重になる可能性。
- システム品質の差
- 利用する会社によって、バージョンアップや不具合対応に差がある。
まとめと感想
電子請求書システムは、企業のコスト削減や作業効率の向上、ペーパーレス化を実現する有効な手段です。特に、紙や郵送コストの削減、リモート環境での請求業務対応、紛失やトラブルの削減など、多くのメリットがあります。また、経理担当者が少ない企業にとって、システムを活用することで業務の負担軽減や柔軟な運用が可能となります。
一方で、導入には初期費用やサポート料金の確認、新システムの習得、取引先対応などの課題があります。さらに、システム間の連携不足や情報管理の煩雑さ、他システムへの移行が難しいといった点にも注意が必要です。
総じて、電子請求書システムの導入は業務効率化に大きく寄与しますが、慎重な費用対効果の検討や適切な運用体制の構築が求められます。
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